連載「日本体感温度
〜青年海外協力隊活動を終えて〜」
松山市公立小学校教諭 藤井田 美代

第1回 「感動の国・・日本」
〜2年ぶりに見た祖国〜

「ありがとうございました!またお待ちしております!」
 約2年ぶりの日本帰国後、都内のコンビニで聞いて感動のあまり涙が止まらなかった言葉である。

 私はこの春、青年海外協力隊員としての中米ホンジュラスでの活動を終えて帰国、約2年ぶりに日本の土を踏んだ。成田空港での入国審査員のキビキビとした態度、換金のため並んだ銀行窓口では、混雑しないように上手く人員調整をする行員の臨機応変な様子、都内へ向かう私電の車内では、場をわきまえた乗客達のすばらしいマナー、乗客身体検査もなくライフルを構えた迷彩服治安軍が巡回しなくても平和に保たれている治安、ほとんどゴミらしいゴミが落ちていない清潔な地下鉄構内や道路、科学の粋を尽くし、職人や技術者達の魂と宇宙のつまった美しい夜景・・・。これらのどれをとっても、2年ぶりに目にする日本は私にとって、どうしようもないほどの感動の渦と涙をわき起こさせるのだった。

 「日本って国は・・・いったいなんて国なんだ!!!」2年前はごく当たり前のように見ていた自分たちの生活やこの町の様子が、全く違って見えた。日本にいながら『世界の人口の8割は途上国に生活しています。』と聞いても、へぇ〜と驚くだけで実感がわかなかった。日本に生まれ育ったということは、私は世界トップクラスの恵まれた環境で生活させてもらい、計り知れないほど多くの幸福を享受してもらって生きてきていた。それなのに、なんて感謝知らずな人間だったのだろうか・・・。

 日本は確かに世界一、二の経済大国である。しかし、それは日本人が何もせず口を開けて待っていたら降ってきたものではない。何百世代も前の祖先や先人から綿々と繋がる歴史の中で、繰り返され変革されつつ、現代の私たちに受け継がれた「日本人の心」が、この今を造っているのである。私は盲目的に日本の良さばかりを見ていたくはない。しかし、その良も悪しも含めての「日本人の心」、それは世界に胸を張って堂々と誇れるもの、それを確信をもって感じた協力隊二年間であった。

 冒頭のコンビニで。そう言ったあと店員は、私が持ちやすいように袋の取っ手部分にクルッとねじれを作ってから差し出し、しかも頭を下げた。私が店を出ようとすると、他の店員の再び「ありがとうございました!」の声が追いかける。その手際よさ、礼儀正しさ、誠実さ。「・・・すばらしい!!」やはりこの一言に尽きる!
これより先、それを具体的に体験などをふまえながら、また私の感じたままを書かせて頂きたいと思います。未熟な私の率直な想いです。ご指導、ご鞭撻を頂けたらと思います。どうぞよろしくお願い致します。
(責任編集・白石哲朗)
*感想やご意見など、お気軽に愛媛県本部までお寄せ下さい。
注)ホンジュラス共和国

 ホンデュラスは、北緯13度から16度32分、西経83度〜89度20分に位置し、中米地峡のほぼ中央に存在する。北はカリブ海に面し、西部はグアテマラ及びエル・サルヴァドルと、また南部はニカラグアと国境を接する。面積は11万2,000Km2と、北海道と九州の合計面積よりもやや狭い。国土の65%が山岳地帯で、平均標高1,000〜1,500mの高原地帯が、中央部から南部にかけて横たわっている。環太平洋火山帯が西にそれているため、中米諸国にあって国内が震源地となる地震がない唯一の国である。
 総人口は615万6,000人(1998年)。主要都市は、テグシガルパ。公用語はスペイン語である。しかし、北部の離島など旧イギリス領だった場所では、今でも英語が話されている。
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H16.9.25