今月の主張
 中山会長の巻頭言
「マスコミ自身も襟を正せ」 
日本会議愛媛県本部会長
 中 山 紘 治 郎
 「表現の自由」はマスコミが多用する牽強(けんきょう)付会(ふかい)の常套句(じょうとうく)である。この欧米生まれの人権保障の思想や理念が、日本の国柄にふさわしいかどうかの議論はさておき、マスコミこそ「正義」だ、といわんばかりの報道姿勢は、驕(おご)り高ぶり自己肥大化するばかりである。

 かつてマスコミは、立法、行政、司法の三権を監視する第四の権力としての役割を期待されていた。しかし日本のマスコミは、六十年安保闘争のころから左翼勢力にすり寄り、護憲学者という冠(かんむり)の「無用学者」たちのプロパガンダに利用され、もっともらしいご宣託(せんたく)を活字にして大衆を扇動(せんどう)し、国家の進路の妨げになってきた。日米安全保障条約の改定もPKO協力法も、どれほど日本の経済成長と国際社会からの信頼に貢献していることか、改めて書くまでもないことである。

 従軍慰安婦ねつ造報道で世間に「お詫び」をし、体制を刷新したはずの新聞社を筆頭に、マスコミは将(はた)又(また)、表現の自由というご都合主義の建前で、本音を語った自民党の若手議員を一斉にバッシングし、安保関連法案の衆院成立にゆさぶりをかけはじめた。若手議員三氏の発言は、しがらみのない意見であり、良識ある多くの国民の本音であろう。悲惨な沖縄戦と、いまもなお基地負担を強いられている沖縄の現実から目をそらしてはならないが、偏狭な報道を続けるマスコミに対し、批判や牽制(けんせい)があるのは当然であろう。

 沖縄の民意は、沖縄県内の二紙に強い影響を受け、反米に凝り固まった人たちだけではない。米軍基地が沖縄経済には必要である、と現実を冷静に受け止めている人たちも多くいる。マスコミは前者の立場を一方的に報道し、沖縄の現実を正確に伝えようとしない。沖縄県の独自財源は二十五%しかなく、本土からの巨額の税金の補助で沖縄の公共財は維持され経済が動いている。「なんでも反対」の罵声(ばせい)を大本営発表のように報道するマスコミは襟(えり)を正してもらいたい。報道の公平中立が損なわれている現況をみると、皮肉にもマスコミこそ民主主義の敵である、と思わざるをえないのである。いまや三権をもしのぐ権力をもつマスコミの報道姿勢を糺(ただ)した、議員諸君の勇気にエールを送りたい。



『日本の息吹』平成27年8月1日号「愛媛版」より転載

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