今月の主張
 中山会長の巻頭言
「軍事力こそ最大の抑止力」 
日本会議愛媛県本部会長
 中 山 紘 治 郎
 安倍総理は先月の衆院予算委員会で、憲法改正について、「国民投票にかけるため、発議をするに至る最後の過程にある」と明言し、改正がいよいよ現実になってきた。今日の日本をめぐる国際情勢を考察すると、遅きに失した感はあるが、改正への道筋がしっかり見えてきたことを素直に喜びたい。

 ご承知の通り、主要国は何度も憲法を改正している。同じ敗戦国のドイツは五十七回、イタリアは十五回、お隣の中国と韓国は九回である。
 現行憲法で改正が急務なのは何か。勿論、国家の安全保障にかかわる第九条だ。歴史的にみても日本人ほど平和を愛し尊ぶ国民はいない。
 しかし欧米各国は今日に至るまで、諸民族の興亡と宗教戦争等による略奪、侵略、殲滅を繰り返している。
 日本周辺諸国も同様である。

 平成二十四年八月、政権運営に行き詰った李明博前大統領は上陸した竹島で領有権を主張し、くわえて韓国内の独立運動家へ天皇が謝罪するよう要求した。不当な実効支配と、不遜きわまりないパフォーマンスを韓国にゆるしているのはなぜか。やむことない従軍慰安婦問題もしかりである。

 また中国公船による尖閣諸島への接近は平成二十四年九月以降急増し、昨年十一月には小笠原諸島と伊豆諸島周辺に数百隻の漁船が送り込まれ、日本政府へ圧力がかけられた。本年三月四日、中国国家海洋局は、「尖閣諸島は中国固有の領土である」とする日本語版と英語版の特設ウェブサイトを開設しており、まさにやりたい放題である。国防費を増大させ続けている習近平指導部の下、近い将来、「沖縄は中国固有の領土である」とウェブサイトに書き込まれる日も現実になりそうである。

 さらにクリミア半島を領有し、ウクライナ東部地域を支配下に置こうとしているロシアは、北方領土を占領し続け、返還する気配はない。

 これらの事実は、第九条が「戦力を保持せず、国の交戦権を認めない」ことで、周辺国からの軍事力を背景とした外交の手玉にとられておることを如実に示している。近代的な軍事戦略とは、相手に「勝てない」「なめたらいかん」と思わせるような脅威をどれだけ与えられるかにかかっている。早急に第九条を改正し、十分な抑止力となる国防軍を持つことこそ、将来の国民への責務であろう。


『日本の息吹』平成27年4月1日号「愛媛版」より転載

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