今月の主張
 「日本の息吹愛媛版 平成26年4月号巻頭言」
「最近のマスコミ報道に思う」 
日本会議愛媛県本部会長
 中 山 紘 治 郎
 ソチ冬季五輪が成功裏に閉幕した。感動の場面は数多くあったが、なかでもフリーを最高の演技で締めくくった浅田真央さんは立派だった。演技終了直後、万感(ばんかん)胸に迫ったのだろう。画面いっぱいに映し出された彼女の表情は素晴らしかった。外国人には決してありえない表情である。報恩という日本人の伝統的な徳性と美質(びしつ)が、見事に表現されたドラマチックな瞬間だった。誠に感動的で、私も目頭を熱くした者の一人である。

 ところで、真央さんに対する森発言、「あの子は大事なときに必ず転ぶ」が報じられ、森元総理に批判が集中した。私はこのニュースに接してすぐ、マスメディアがまた意図的に扇情(せんじょう)的なニュースを仕立てている、と苦々(にがにが)しい思いがしたものだ。元総理が軽々(けいけい)に一(いち)女子スケーターを批判することなどありえない。BSフジのプライムニュースは、他局の報道姿勢へのけん制もあったのだろう。講演のなかでの森元総理のさわりの発言とその前後をすべて放送し視聴者に提供してくれた。言葉足らずではあったが、元総理は真央さんをかばっており、転んだ真央さんの批判などしてはいないのである。褒(ほ)めたらニュースにならない。転んだことを批判、それも元総理で東京五輪組織委員会会長の発言となれば、国民の耳目をあつめることになる。多くのマスメディアの扇情主義の報道姿勢が如実に現われた出来事であった。

 公共放送であるNHKはどうか。大問題となった佐村(さむら)河内(ごうち)守事件の責任はまぬがれないだろう。昨年のNHKスペシャル「魂の旋律〜音を失った作曲家」で、全聾(ぜんろう)の作曲家を演じていた佐村河内氏の嘘をみぬけず一方的に美化し、かれのペテンに手を貸してしまった。すでに十二年前のNHKスペシャル「奇跡の詩人」でも同様の過ちを犯しているが、このときは検証がなくうやむやになった。さいわいNHKは信念のある籾井勝人氏を会長にむかえている。籾井氏は佐村河内事件の検証番組の制作を約束した。大いに歓迎したい。

 合わせて、眉唾(まゆつば)臭くなったSTAP細胞発見研究者の「リケジョ」にみられる軽はずみな紹介、昼間からのクイズ番組、帽子をかぶったまま食事をするタレントたちの番組、時代劇とはいえやたら多い殺し合いの場面等々、よい番組もたくさんあるだけに、品のない報道姿勢と娯楽番組はこの際ぜひ検証願いたいものである。

 お隣りの国の公共放送が自国のメダル獲得選手を紹介する番組において、キム・ヨナ選手の紹介で、「実際は金」と但し書きをいれたそうである。なにをかいわんや、とはこのことだが、NHKには日本の国柄にふさわしいいっそうの品格を求める次第である。





『日本の息吹』平成26年4月1日号「愛媛版」より転載

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