今月の主張
 「日本の息吹愛媛版 平成26年2月号巻頭言」
「正しい歴史教科書の採択を!」 
日本会議愛媛県本部会長
 中 山 紘 治 郎
 心身ともに成長の著しい青少年に、何をどのように学ばせるか。どこの国も時代を問わず学校教育の大きな課題である。第一次安倍内閣の平成十八年、約六十年ぶりに教育基本法が全面的に改正され、学校教育の目標として「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する態度を養う」ことが明記された。これを受けて改訂された学習指導要領に基づき、各教科書出版社は歴史教科書を作成した。中学校の日本史の場合、現在七社が教科書を出版しており、採択率は五割が東京書籍、残りを他の出版社がわけあっているのが現状である。

 いまここで詳細な分析を記す紙幅がないが、教育基本法の理念や目標、そして学習指導要領に示された内容に最も忠実な教科書は、七社のなかでも育鵬社が断然優れている。この育鵬社は「教育から日本を良くしていきたい」という熱い願いのもとに、扶桑社の教科書事業部門から分離して設立されたと聞く。

 育鵬社の日本史教科書を読むと、「何を学ぶか」「どう学ぶか」という確固たる編集方針が貫かれていてわかりやすく面白い。大手の東京書籍が取り上げていない上杉鷹山、二宮尊徳、高杉晋作、乃木希典など近代日本の重要な人物の生き方が解説付きで紹介されていて、歴史を人物としっかり関連づけて学ばせる工夫がある。

 そして何よりも、我が国固有の民族宗教である神道についても一頁のコラムを設けて記述してあるのがすごい。二千六百年の歴史のなかで脈々と受けつがれてきた日本の精神文化や倫理規範を次世代の青少年に伝えていこうという使命感をひしひしと感じるのである。

 ところで中学校の教科書採択は四年に一度、市町単位で行われる。現在の教科書は 平成二十三年八月に、県下の各市町の教育委員会で採択されたもので、育鵬社の採択は四国中央市、今治市、上島町と愛媛県の中高一貫校にとどまっている。冊数にして採用率二十%に過ぎず、残りはすべて東京書籍である。採択は教育委員の多数決である。

 聞くところによると今治市の場合、教育委員長が東京書籍と育鵬社の二つの教科書を何度も読み比べ、双方に数百の附箋を貼ってノートに書き写して吟味。青少年には明らかに育鵬社の教科書が勝っていると確信したうえで、他の教育委員を説得して育鵬社にしたそうである。教育現場の先生方は希望を述べることができるが、多忙故にこれほど情熱を注いで二つの教科書を比較した教師は皆無であろう。他の教育委員にしても似たり寄ったりだと推測する。

 次の採択の委員会は平成二十七年の夏である。教科書採択の責任ある立場にある教育委員の皆さんにお願いしたい。今治の教育委員長のように本気で教科書を読み比べて頂きたい。育鵬社が最も優れた教科書であることに得心がゆくはずである。


『日本の息吹』平成26年2月1日号「愛媛版」より転載

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