今月の主張
 「日本の息吹愛媛版 平成26年1月号巻頭言」
「報道にモノ申す」 
日本会議愛媛県本部会長
 中 山 紘 治 郎
 謹賀新年
  本年も何卒よろしくお願い申し上げます

 平成二十五年十一月十八日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は中国の外交担当国務委員と大統領府で会談した際に、すでに中国側に協力要請していた朝鮮独立運動家・安重根(アンジュングン)の記念碑を黒竜江省のハルピン駅に建立する計画が中韓双方の協力で順調に進行していることに謝意を表した。

 翌十九日、菅官房長官は韓国側に対して、「我が国は、安重根は犯罪者だ、と韓国政府に伝えてきており、このような動きは日韓関係のためにはならない」と不快感を示した。韓国外務省報道官は即座に反発し、「安重根は我が国の独立と東洋の平和のために命をささげた義士である。伊藤博文が日本の帝国主義時代にどんな人物であったかをかえりみれば、発言はあり得ない」と菅発言を強く批判した。

 このニュースはみなさんもご承知のことだと思う。私もこの日、たまたまNHKラジオの「私も一言!夕方ニュース」で上記の内容の報道を耳にした。不快な気持ちにかられていると、つづいてこのニュースの解説がはじまり、解説委員が「日本政府は(安重根が犯罪者か義士かをめぐる)不毛な論争をやめ、日韓共通の歴史認識をつくるための努力をすべきである」という趣旨のことを話し、それだけで解説とした。趣旨はその通りである。小学生の作文であれば◎であろう。私にも異論はない。

 しかし不特定多数の人々が聴いている公共の電波を使ったニュース解説である。まずは何よりも日本国として当然いうべきことにふれるべきではないか。記念碑建立は韓国側の挑発といやがらせ以外のなにものでもない。伊藤博文は明治国家の立役者であり立憲君主制の生みの親である。事情に不明な多数の人々は、この中途半端な解説を耳にし、暗殺されてもやむなし、と受けとめてしまうだろう。

 「解説」というなら、菅官房長官が表明した不快感の意味するところを、しっかり掘り下げて国民に伝える責務があるはずだ。何よりも問題なのは、解説子には当事者意識がまったく欠落していることだ。この解説子は日本の国柄が嫌いなのだろうか。燃え盛る火事を前にし、「火の用心」を知ったかぶりで説教しているような「解説」だった。高みの見物そのものである。

 このたぐいの寝とぼけた解説や日本の国柄をゆがめる報道姿勢はないか、この際、NHKには徹底した自己検証をお願いしたい。

 もともと、いわゆる従軍慰安婦や徴用工問題、南京事件、さらには靖国神社参拝などで日韓と日中間に軋轢(あつれき)を生んだ主因は、一部メディア側の偏向かつセンセーショナルな報道姿勢にあったことは否めないことである。

 今回の記念碑建立問題の機をとらえ、NHKはもとより各マスメディアには、明治国家のなりたちと歩みに焦点をあて、私たちが日本の歴史に誇りをもち、日本がもっと好きになる特集番組の制作を願いたいものだ。この思いは私だけでは決してないと思うが、みなさんはいかがであろうか。



『日本の息吹』平成26年1月1日号「愛媛版」より転載

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