「日本の息吹 12月号巻頭言」
「正直な日本人たれ」 
日本会議愛媛県本部会長
 中 山 紘 治 郎
 十月十六日、産経新聞は一大スクープを発表した。

 二十二年前の平成三年、韓国の元慰安婦が補償を求めて日本政府を提訴したため、政府は十六人の元慰安婦に日本軍の関与を問う聞き取り調査を行ったが、政府派遣の調査団が作成したこの時の「報告書」について、同紙は「元慰安婦の名前や出身地、生年すら不明確で、ずさん極まる調査」であり、「軍の関与を認めた河野談話の根拠が大本からくつがえった」ことを明らかにした。

 同紙が「報告書」を入手し、全四面を使った精細な検証で、軍の関与がなかったことを明確にした意義は極めて大きい。

 まずなによりもお粗末な報告書をうのみにし、謝罪の談話を発表した当時の河野洋平官房長官の責任は厳しく問われることになるだろう。

 韓国外交に屈して、ゆがめられた事実を認めたこの談話は、国内はもとより日本外交に大きな禍根をのこすことになったからだ。

 ふりかえると、そもそも強制連行は元日本陸軍軍人吉田清治のつくり話であった。のちに吉田自身がペテン話であったことを公にしているのである。

 また、吉田が慰安婦問題をでっちあげたころ、某大学教授が防衛研究所図書館で発掘した「軍慰安所従業婦等募集に関する参謀長宛通牒(つうちょう)案の文意を読み違え、これこそ軍が関与した証拠だと断定し、「朝日」の記者に示した。

 「朝日」は吉田の証言や「通牒案」をまるごと信じ、「強制連行・慰安婦狩り」のキャンペーンを大々的に行った。

 問題を看過できなくなった当時の宮沢内閣は、「報告書」を十分に吟味しないまま平成五年八月、「河野談話」を発表し、問題の存在を認め謝罪した。

 この結果、国内外で人権派と称する人たちの利するところとなり、従軍慰安婦の登場で歴史教科書はいっそう自虐的になり、日本の蛮行を非難する「姓奴隷」のモニュメントが世界のあちこちにつくられる事態をまねいてしまったのである。

 河野談話で日本が国際社会から蒙(こうむ)った歴史の不名誉を晴らすのは安倍内閣にゆだねられたが、安倍総理なら必ずやってくれるであろう。
 
しかしまた、わたしたち自身も決して他人事とはせず、日本の名誉ある伝統や日本人の誇りを傷つける間違った言動があれば、その場ですぐに正してゆかなければならない。わたしたち日本人が誇りとする正直(せいちょく)は、常に行いをともなうものである。



『日本の息吹』平成25年12月1日号「愛媛版」より転載

前号



h25.12.5