憲法講演会、
   ご清聴ありがとうございました
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三
 「改正 急ぐべし」憲法講演会に多数の県民の皆様が御参加、御熱心にお聞き下さり有難くうれしく存じています。帰り道、占領下の日本のこと、防衛のことなど、お話申し上げたあれこれを今一度思い出しながらの車中で、二つのことが脳裏を去来します。

 一つは戦後民主主義と五箇条の御誓文です。日本の民主主義は占領軍の一連の占領統治の諸施策によってもたらされ、日本国憲法により確立されたと信じている人は沢山います。昭和二十一年元旦、昭和天皇は「新日本建設に関する詔書」を発せられ、敗戦後五か月、苦難を生きる国民を励まされその行くべき道を示されました。それは巷間、天皇の人間宣言として伝わっていますが、昭和天皇がその冒頭に高く掲げられたものは明治天皇の五箇条の御誓文でした。日本の民主主義の高い理念が珠玉の文章で綴られています。

『茲に新年を迎う 顧みれば明治天皇明治の初め国是として五箇条の御誓文を下し給えり 曰く
 一、広く会議を興し万機公論に決すべし
 一、上下心を一にして盛に経綸を行うべし  
 一、官武一途庶民に至るまで各其志を遂げ人心をして
   倦(うま)ざらしめんことを要す
 一、旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし
 一、知識を世界に求め大に皇基を振起すべし
叡旨公明正大 又何をか加えん』

 話合い全てをみんなで決めよ。心を一つにして国家のことを考えよ。総ての国民が夫々の希望をもって溌剌と生きるように。古いことには拘らず改め、理に適い万人が認める方策を。知識や技術を世界に求め日本を発展させよ と。占領したマッカーサーは日本が封建主義であるとしてその根本的な改革を命じたが、昭和天皇は彼らが占領統治として我が国に吹き込む民主主義は明治天皇によって国是となっていることを内外に伝えられたと私は思います。戦後民主主義に未だに酔って有難がる人々の貧しい知識と心情を悲しみます。

 もう一つは、フォークランド島の防衛に見る英国の姿です。我が国の領土・領海・領空に中国の侵攻やロシア・韓国の侵略を受けている今、貴重な教訓が得られる事態です。フォークランド島はアルジエンチン沖、南極海に近い南大西洋の千五百人が住む孤島。英国領ですが本国から一万五千キロ離れ、一五〇年間、領土紛争が続きます。三十年前一九八二年三月、アルジェンチンは民間人の島への上陸に次いで軍をもって本格的にこの島を占領します。

 四月一日、首相サッチャーは米大統領レーガンに仲介を求めるとともに、機動部隊の編成を命じ、「武力解決」と開戦の決断を下します。空母二隻を中核とする第一陣は直ちに発進。空母「インビンシブル」には二二才のアンドリュー王子がヘリのパイロットとして先陣に立ちます。豪華客船『クイーンエリザベス』なども軍隊の輸送に使い、迅速柔軟な陸・海・空軍の運用により三万の兵員、百十一隻の艦艇、百十七機の航空機を展開し、幾多の損害を出しながらも勇戦。六月十四日、全島を奪回し領土を確保。英国の主権と名誉を守りました。それを可能ならしめたのは宰相の決断、国家の体制と軍隊の精強、国民の意識です。ここに、危機にある日本が学ぶべきことがあります。  


『日本の息吹』平成24年7月1日号「愛媛版」より転載

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