青少年の健全な育成は
   国の将来を決める大事
ボーイスカウトとして歩んだ私の少年時代
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三
 「身体も心も健全に育ってほしい」我が子は勿論ですが、子供たち皆が、そうあって欲しいと願うのは、大人たちが何時の世にも持つ思いです。学校、家庭では当然ですが、社会としても子供たちを教え育てることは大事なことです。いろいろな青少年に対する社会教育活動があるのもそれ故のことでありましょう。野球・サッカーなどのスポーツ少年団、緑の少年団、またいろいろな習い事、塾、など、どれもある目的をもって子供を育てる役割を果しています。私はそれらにそのご苦労を謝し、高く評価するものです。

子供たちの社会教育活動で、私が体験したボーイスカウトについて少し述べたいと思います。スカウトになることは母も勧めてくれました。兄が少年団の一員であったこともあります。「ボーイスカウト・今治第七団」。私は自分の生家の所番地を聞く思いがします。私は小学校を卒業する前、編成準備中の今治第七団のスカウトになりました。わずかな期間でしたが、今ある私の基礎はそこで学んだものであります。防衛大学校に進み、自衛官の道を選んだのも、スカウトの「誓」をわが身をもって具現することになったと思っています。「三つの誓」、その三カ条は今も諳んじています。

一、神仏と国とに誠を尽くし「掟」を守ります。
二、いつも他の人々を助けます。
三、体を強くし、心を健やかに、徳を養います。

スカウトは名誉にかけてこれを実践することを誓います。「掟」には国家への忠誠、 誠実、友誼、礼儀、親切、快活、質素、勇敢、感謝、従順、名誉、奉仕、清潔などの徳目を十カ条に纏めます。要約すれば「名誉」「忠誠」「義務」「奉仕」。精神と行動の基準です。イギリスのパブリックスクールの教育から養われる倫理観と共通するものがあります。国家への忠誠の証として、小さな集会でも始めと終わりに国旗の掲揚・降納を行います。

ボーイスカウト運動の創始者、べーデンパウエルはイギリスの軍人ですが、ボーア戦争に従軍するイギリスの若者の心身の貧弱なることを、国家の将来の危機ととらえ「斥候(スカウト)」の活動の場での鍛錬を通じて健全な発育を促すことに着目します。著作の「スカウティング・フォア・ボーイズ」は今もスカウトや指導者の教範です。そこに、子供たちに世界に通ずる確固たる理念に支えられた、目標とする人間像を明確に示しています。

私は、ほぼ二年ごとに自衛官たる父親の任地が変わる彼らの子弟に、心の故郷ともいえるものが必要ではないかと考えた末、それはスカウトだ、との結論を得て、久留米第十一団と青森第三十四団を編成し、官舎の子供たちの活動の場としました。地域の子供たちも続々と仲間になりスカウトの輪が大きく広がりました。

世界のスカウトは一五一か国、二六六六万人います。然し日本では減少が続き、歯止めがかからないとの話を聞き、ボーイスカウトの先行きを案じています。家庭や学校の教育に変わるものではありませんが、教育の荒廃が叫ばれる今、青少年に対する社会教育活動にも一層重き意義がありましょう。

ボーイスカウトは騎士道を現代の少年教育に取り入れたものとされますが、ベーデンパウエルと日本の濃い交流を思うとそこに武士道や薩摩の郷中の影響を指摘する人もいます。


以上


『日本の息吹』平成24年6月1日号「愛媛版」より転載

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