新しき年に日本再生を!
先ず教育の日本回帰!
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三

教育について二つのことを申します。

 一つは小野田寛郎さんの話を聞く子供たちのこと。今治市で一番児童数が多い常盤小学校全校児童が体育館に集合します。後ろの方に父兄など五十人。十月三十日のことです。今からフィリッピン・ルパング島で終戦後も三十年、受けた任務を遂行し、国民は等しく大きい感動に浸ったあの人が「人は一人で生きていけない」と題して子供たちに話しかけます。

 係の先生がマイクの前に立つと私語ざわめきはぴたりと止み、全員前を向いて姿勢を正します。校長の講師紹介も要を得て簡明。この様子に私たちはこの学校の行き届いた躾、規律・秩序に感心しました。多くはありませんが講話中も姿勢を崩したり、居眠りをする子に先生が後からそっと傍に行って注意します。そこにはよく話題になる放漫な教育放棄とも言うべき学校の雰囲気や教師の姿は微塵もなく、学校と教師の子供たちを教え導く粛然たる気迫を感じました。

 講話の内容は表題どうり「父母、家族、先生、友達、近所の人々など皆のお蔭で生きてゆく」ことでした。九十歳の小野田さんは一時間、背筋を伸ばし立ったままでした。これまたお話以上に子どもたちに大きい感銘を与えたものと思います。

子どもたちの教育について、もう一つの話です。

 満堂に拍手が沸きました。今治市議会九月十五日。育鵬社の中学校歴史・公民教科書を採択したことについて、反対する共産党議員の質問に対する小田道人司教育委員長の答弁が終わった時のことです。議員席の拍手につられて傍聴者からも起こりました。

 全ての教科書を詳細に比較検討し吟味を重ねた結果が育鵬社の採用となったこと、批判する人皆が同じ言葉で「戦争賛美がある」とするが、それはこの教科書の何処にあるのか、むしろ当時の日本の状況を正しく伝える手がかりを盛り込んでいることを評価したことを諄々と説きます。検定に受かっているから同じではない、取り扱う項目の選択その内容や表現の相違その背景の思想にまで説明が及びます。教育委員の国語力と教養・その目的意識の高きことに深い敬意を表したことでありました。

 一例を挙げれば、大東亜戦争、日本の都市に対する無差別爆撃、特攻、沖縄戦、GHQの占領施策などは日本人として歴史の真実を明らかにし次の世代に伝えるものとして欠くべからざる大事。公民の教科書についても、日本及び日本人の立場をしっかりと弁えたものを求めたと。堂々とした論理的な説示は聴くものの胸を熱くしました。「今治の子供たちに最も良い教科書」が選ばれたことに対する喜びと安堵がこのような拍手を呼びました。偏りのない高い見識と信念を持った教育委員長・教育委員がこの市に居ることを市民の一人として誇らしく思いました。

 市民の反対運動があることを新聞が伝えます。今治・上島・四国中央と同じ教科書を採択した神奈川県藤沢市の教育長は「保守系教科書に反対する個人・団体は教科書問題で政治運動、思想活動をしている」と言っています。思い出すのは共産党の志賀義雄が、武装闘争に反対して「武装闘争をやらなくても、共産主義者が書いた教科書で日教組の教師が教えれば三十年、四十年たてば日本革命はできる」と言いました。教育は国家と国民の将来を左右する重大事です。日本の再生の鍵。それは教育です。



『日本の息吹』平成24年1月1日号「愛媛版」より転載

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