「近ごろ都に流行るもの」
-日の丸グッズ、かっこいい絆の象徴
それにしても教科書の採択は
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三

 産経新聞のコラムの表題です。七月二十五日の東京版。愛媛ではお目に掛れませんが、「星条旗(米国旗)」やユニオンジャック(英国旗)など派手な国旗をあしらったグッズは昔から沢山見られたが、「日の丸」がファッョンに採用されることは珍しかった。然し今、変化が起きている。東日本大震災の被災地支援や復興を目的に、ヨーロッパの親日国や国内で日の丸グッズが続々商品化され評判だ。白地に赤丸の簡潔美、カッコ良さが見直され、愛国心と絆の象徴として存在感を高めている。」とリード。続いて、フランスのシューズ・ブランド、イタリアの「ポッテガヴェネタ」などが「日の丸」入りのデザインの商品を売り出し、売れ行き好調を伝え、収益を被災地に贈るとあります。

 国内においてもウエッディングドレスに合わせた日の丸シューズの話題や「日の丸」タグのデニムバッグなどの話が出てきます。いずれも被災地支援の熱意がその発端です。そしてコラムの最後をこう結びます。「多くの人の善意と行動が日の丸のもとに連帯していると実感。そんな一人一人の大和魂こそがカッコイイと思う。」日の丸と大和魂。戦後日本人の多くが失っていたものを、思い出させて呉れたのが、東日本大震災・原発事故に東北の人々が世界に見せた、日本人が古来持っている心性の美風と行動でした。「なでしこ」の活躍もありましょうが、そこに日本人の心を繋ぐ「日の丸」がありました。そこに日本人が共有する精神を更なる高みへ誘うもの、「大和魂」がありました。その蘇りが窺えることに、己を失い、道に迷った末にやっと見付けた光を見た思いがします。小さな「ほむら」を大きくするのは教育です。

 今年は中学教科書の採択の年です。県下でも戦後教育の荒廃をこれからも続けようとする執拗な強い動きがありました。そんな中で今治、上島、四国中央などで教育基本法・学習指導要領の改正の趣旨・理念に沿った教科書が選ばれました。教育委員会が法の定めるところにより、良識と良心に従い適正にその権限を行使したものでありましょう。更にそれを支えた人々の高い見識と信念に深い敬意を捧げます。

 洵に残念なのは松山市です。八月十一日、教育委員会での採択は、従前と同じ、歴史は東京書籍、公民は日本文教出版です。両方の教科書は検定をパスしたものですからそれなりの評価がありましょう。問題は教育委員会に上程されたのはそれぞれ一社のみで、他社の教科書との比較是非優劣はほとんど審議されないまま、教育委員全員賛成。採択決定です。教育委員会は文科省の指導する処を無視し、専権事項たる採択権を放棄したに等しく、だれの責任において事前に一社のみが決まったのか。市民に対していかなる説明があるのでしょうか。松山は「坂の上の雲」の街。そこに出てくる郷土の誇るべき偉大なる先人はこれら教科書には見当たりません。為にする一部の人の専横を許してはなりますまい。

 教育は国の大事。次の日本と日本人がどうなるのか、今に生きる私たちの責任は極めて重いものがあります。偏りのない、教育基本法の理念に沿った教育が子や孫たちに正しく行はれることを強く望みます。





『日本の息吹』平成23年10月1日号「愛媛版」より転載

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h23.10. 1