龍馬に見る。救国の英雄出でよ
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三
 皆さん、輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 昨年は、テレビの放映で何処でも坂本龍馬が話題になりました。テレビのドラマもさることながら、政治の乱れ、経済の停滞、道義の頽廃など我が国の憂うべき現状に国民がこの国を救う「英雄出でよ」の夢を、龍馬や幕末維新の志士たちに見たこともありましょう。今の日本にこの国を託するに足る龍馬や晋作が居ない。情けない悔しい思いです。

 国乱れて国士出で、家貧にして孝子出ず。

 今年こそ国事をしっかりと担っていく人士が求められ、それを待ちたいものです。

 ドラマを見て脳裏に残る話が三つあります。

 一つは四月一八日、龍馬が勝海舟と初めて会った時のやり取りです。龍馬が勝に問います。「このままで外国と戦になったらどうなる」「この国は負ける」龍馬は「それではどうすればいいのか」と問う。勝は答えない。龍馬はいろいろと思いをめぐらした末、「そうだ海軍を創る。外国の軍艦の様なものを沢山造ればいい。そうすれば外国は日本に寄らなくなる。そうなれば攘夷ができる」と。見事に外国の軍事力に対する抑止の作用としての軍事力を言っています。
 鳩山さんにこの程度の理解力があれば普天間の話がこうも拗れなくて済んだものをと悔やまれます。
 昨年末、新しい防衛大綱が策定されました。周辺情勢愈々厳しさを増す中、またまたまた自衛隊の人員・装備兵器の削減、予算の縮小。平成七年の村山富市大軍縮に次ぐ暴挙です。

 二つめは九月五日、龍馬が岩崎弥太郎に言います。「新しい国を造らんと、日本と言う国は守れん。幕府に任せとったらこの国の半分は他所のもんになる」。幕府を今の政府に置き換えれば、今に通ずる話です。
 北に南に竹島にわが固有の領土を、ロシアの領土と言い、尖閣のみならず沖縄までも支那のものとする。竹島はまた韓国が無法な実効支配を逞しゅうしています。
 最近、二〇五〇年には富山県から静岡県以西は中華人民共和国東海省にそれ以東は日本自治区になるとする地図を見ます。何処の誰がそんなことを企んでいるのか。冗談ではありませんぞ。

 最後は、龍馬が土佐の殿様、山内容堂公に大政奉還を請願するシーンです。殿様が言います。「幕府も藩も無くする。そうすれば何が残るか」。龍馬答えて「国が残ります」と。国民国家日本の嚆矢をここに見ます。道義,徳性、見識を欠く領袖のもと党派相せめぐ政争に明け暮れていては、権謀術策渦巻き、生き馬の目を抜くような国際社会でこの国が生き残り、国民とともに繁栄を楽しんで行くのは容易なことではありません。

 国民が政治家のためにする巧言に惑うことなく、この国のあるべき姿を見据えて、日本の芳しい歴史と文化が育んだ美風を誇りとして誠実に生きることです。そこに真の日本のリーダーが生まれましょう。こんな今年でありたいものです。

『日本の息吹』平成23年2月1日号「愛媛版」より転載

前号



h23. 2. 1