歳の暮れです。この国も暮れ逝くのか。嗚呼
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三
 *「近頃は腹のたつことが多い。
年をとった所為ばかりではないようだ。」
 卆寿を迎えた先輩の言です。国の先行きの心配、今の政治に経綸・志無く、あまりにも貧弱・場当たりの外交防衛のことなど。悲憤慷慨、憤懣やるかたなく、述べ来たって尽きるところがありません。司会者に時間を告げられること二回、やっとマイクを離しました。これは九十翁の老いの繰り言ではありません。先の戦を戦い、激しい転変の時代を生きた経験から迸る悲痛な警告です。

 尖閣のビデオを見て国民は怒り心頭。われに戦略なく相手の戦略に乗る「戦略的互恵」とは笑止の極み。政治家の為する理非を弁えぬ国家運営や主体性無き対外姿勢を危惧します。大砲ぶっ放す気違いとならず者がお隣さん。どうしますか?
 *十二月は大東亜戦争の勃発。
  この戦いの意義、殉じた父祖を思う
 真珠湾、マレー、香港。華々しい緒戦。わが国の自存自衛と、アジアが隷従から脱する為に闘った日本の明治以降の努力は各地の軍人墓地に立つ墓標の碑銘に明らかです。一度世界地図に、それぞれの英霊が命果てた場所をプロットするといい。北はシベリア・チタ、アリューシャン、南はソロモン諸島、ニューギニア、東はハワイ、西はインパール、インド洋。南洋各地はもとより「お国のため」それに「東洋平和のため」に戦った父祖の行動の広大なること、また目的のための犠牲の甚だしきこと。日本が国を挙げて、大東亜のために戦った苦労が偲ばれます。

 満州、シナ大陸、樺太、千島また日本本土を合わせ、大東亜全域では、その数は三一〇万人に上る。戦争終了後アジア、アフリカの多くの国が独立を果たし、植民地支配の桎梏から解放されたことは、この犠牲の意義を如実に語るものであり、日本がアジアに果たした功績です。高い評価は外国から寄せられています。

*NHKスペシャル「玉砕」を見ました。
殉国の死に冒涜の限り
 負け戦だから、あれが悪いこれがいけないと批判は一杯あります。しかし国に命を捧げた英霊をこれほどまでに冒涜するものか。アッツ島や、ニューギニアのブナで玉砕した日本兵の多数の遺体をこれでもかこれでもかと何度も何度も繰り返し映す。また生き残った高齢の兵士に当時の事情を聞くのも拷問以外のなにものでもありません。視聴後やりきれない墳りを感じました。

 ドラマ「帰国」。英霊が今の日本に帰ってきました。何を思ったか。靖国神社に参る英霊の心情に思いやる心は今の日本人には無いのか。負けたとは言え、大東亜戦争の持つ意味を、占領に次ぐ戦後体制から生まれた、為にする虚言虚妄から醒め、虚心を以て、今一度、現在に生きる我々が断ち切れない連綿たる時と事実の繋がりの中にある重さに思いを致すべきだと思います。

 国民の意識や誇りと遠く離れた政治がそしてメディアが、この国の夕暮れの闇を愈々濃くし、滅亡の淵に誘う現実を、国会の問答、国際会議・会談の報道に見ます。国を誤って恥じない政治に、国民は自らの見識と確かな自尊と自立の存念をもって正しきを求めなければなりません。相継ぐ国の威信と国益を毀損する事態に憂いは深まるばかりです。
何はともあれ、皆様には良いお年をお迎え下さいますように。


『日本の息吹』平成23年1月1日号「愛媛版」より転載

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