「日本を狙う」・明確な中国の意図を読む
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三
 ロシアはわが領土、国後島に大統領が乗り込み日本侵略の固定化を図る。戦争の終結、平和条約締結にも応じません。これが「日ロ友好」の実相です。「友好」「友愛」「宥和」が何を齎すのか。その先にある相手の意図を読まなければ、国際関係の修羅場は凌げません。

 「中国は脅威ですか」と問うと、政治家の先生方の殆どが、口を揃えて「脅威ではない」とおっしゃる。理由は「中国の軍事力は強大であるが、意図と結びついて初めて脅威になる。意図が不明ならば軍事力が大きくても脅威ではない。従って中国は日本にとって脅威ではない」と。今もそうでしょうか?

 尖閣諸島周辺の事態で中国の意図は明確になりました。その意図を読む二〜三の例を挙げましょう。

*我が領海での漁船の巡視船への体当たり。
  ビデオが伝える無法・狂暴
 日本の領海で日本の国家権力の象徴である巡視船の指示に従わず、逃亡を図る。ビデオには、ぶっつけて巡視船に損害を与えその行動を阻止しようとする漁船がはっきりと。これは古くから海戦における敵艦を破壊するために採る戦法の一つ。攻撃行動です。日清戦争の黄海海戦でも清国は大艦をもって日本艦隊にその行動をとりました。

 漁船の単純な衝突事件でなく、公務執行妨害などで片付く話ではないのです。漁船の船長は中国漁業局に属し、ブログでは海軍軍人と言う話もあります。近傍海域の六十隻以上の漁船の多くは海上民兵と見る人がいます。漁船員が巡視船やその乗組員の行動をビデオに撮るなどの行為は普通の漁船とは思えず、周到に準備され、仕組まれた事案であることを示しています。そうであれば国家の意思に基づく日本に対する侵略事態であります。

 海洋調査の常態化、漁船を装った海上民兵、武装した漁業監視船、次いで上陸し人が住む、海軍が武力を使って守る。西沙・南沙諸島で中国が他国の領土を掠め取り実効支配を確立し、「核心的利益」と称して絶対に守る。全く同じこの手順が今わが領土・領海で行われつつあるのです。

*「超限戦」禁じ手無し、何でもあり、限界なし。
「ならず者」中国の戦争
 十年ほど前、二人の空軍大佐が解放軍出版社から出し、軍の教材にもなっている書物の表題が「超限戦」です。これによれば戦争は軍事、超軍事、非軍事の総合力で戦う。

 軍事では核・宇宙戦争から通常戦そしてテロ・ゲリラまでいろいろ。超軍事では外交・IT・心理・技術・麻薬・密輸など、非軍事では金融・貿易・流通・法規・メディア・環境など、あらゆる分野を駆使して戦争を行うというのです。

 暗殺拉致人質謀略宣伝などは当然のこと。次の選挙では日本の反中国政治家を落選させる運動も起こす。沖縄の選挙はどうでしょう。尖閣について中国が日本に見せた、武力行使を示唆するまでの多種多様なあの手この手を繰り出す強硬な対応に、既にわが国に対して「超限戦」が行はれていると見ることが出来ます。


*国内法の前に国際ルールも秩序もなし
 領海法で尖閣の中国領土を宣言したのは平成四年。昨年は島嶼保護法でその確保開発を定めました。中国が「俺のもの」と言えばそれで中国の領土になる。そして今年は国防動員法です。世界中の中国人はもとより中国にある日本の企業の人も資産も中国政府によって中国の戦争に狩出される事態も考えられます。

 全て国内法ですが外国にも適用し、巻き込んでもやり抜く流儀です。三十年前、中国は今年を東シナ海の領海化と第一列島線の確保を達成する年としました。長期的視点に立った戦略計画が着々と進んでいます。

我が領土領海を狙う隣人。
今こそ、日本を守る決意と覚悟を。
『日本の息吹』平成22年12月1日号「愛媛版」より転載

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