そうだ、それでこそ。経営者の姿に感銘
日本会議愛媛県本部会長
 重 松 惠 三
 次世代の戦闘機かと見紛う建物が目に入る。名は「みらい工場」。国道一九六号線を今治から松山に向かうと、しまなみ街道・今治インターを過ぎて直ぐ左、野間馬ハイランドの近くの丘に大きい斬新なデザインの建造物があります。最近その「渦潮電機」の新工場を、今治の長島さんはじめ皆さん、それに大勢の市議会議員の方々と見学する機会がありました。建物と工程管理の調和など技術的、工学的な面は勿論のことですが、見学を終えて爽やかに心に残ったものは、企業としての姿勢と、小田会長はじめそこに働く「人」の素晴らしさでした。

 会社に入ると廊下の両側の社員が全員立ち上がって挨拶。工場内でも作業に支障の無い人は会釈。訪問した私たちを単に暖かく迎えると言う以上に、そこに人と人結びつきが生まれ、通い合うものを感じます。会議室だろうが事務室だろうが、部屋と言う部屋には「教育勅語」が掲げられております。そこにある「父母に孝に 兄弟に友に 夫婦相和し 朋友相信じ 恭倹己を持し(自分の言動を慎み) 博愛衆に及ぼし 学を修め 業を習い 以って知能を啓発し 徳器を成就し 進んで公益を広め 世務を開き 常に国憲を重んじ 国法に従い 一旦緩急あれば義勇公に奉じ(非常事態発生の場合は真心を捧げて、国の平和と安全に奉仕する)」の徳目を、人として、また社員として備えるべき資質として挙げます。
・( )は国民道徳協会による口語訳です。

 それでこそ、会社を訪れる人々が感銘を受ける社員が育つ。納得しました。またこの会社には「Z」旗を掲揚しています。ロシア・バルチック艦隊を対馬沖で我が連合艦隊が殲滅した、日本海海戦。旗艦「三笠」のマストに東郷さんが掲げたその旗です。「皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」。この旗を仰ぎ、朝な夕な、国のため会社のため、世界に対して一層の奮励努力を誓うのです。それが自分のためでもあることを社員はよく理解しているのでしょう。

 また、それから日をおかず、今治で愛媛銀行の経営説明会があり、頭取の中山さんがその中で短くはありましたが「安全保障・防衛」「教育」に言及されたことを高く評価したいと思います。銀行の経営者が、国家の根本問題を常に念頭に置いて事業に当たる。洵に心強きものを感じました。

 聞けば行内でも、「論語」を読むことを推奨されているとのこと。金融の業務の中で、国を思い、人を育てることに熱心に取り組む。そこに言う人は「日本人」としての徳性の上に、行員として更に優れたものを求める。胸打たれるものがありました。 

 お二人の言動に、渋沢栄一の影を見ました。彼が家訓の第一は、「常に愛国 忠君の意を厚うして公に奉ずることを疎外すべからず」とあります。利益を挙げることにのみ汲々とする企業人・経済人が多い今の日本。あらためて国を思い、国に尽くす商の道を示されているように思いました。。
『日本の息吹』平成22年10月1日号「愛媛版」より転載

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