春なのに、わが国の防衛は真冬の寒さ
日本会議愛媛県本部          
会長 重 松 惠 三
 寅年が明けて、三ヶ月、春は弥生。去年から今年の内外の出来事を思うと明るい穏やかな命の躍動するこの季節を楽しむ気にはなれません。わが国の防衛を思うと寒気に身震いがします。総理が施政方針演説で二四回も「命」を口にしても。虚しさを覚えるだけ。何よりも日本という国家の命をどのように守るのか、それがありません。

 虎はにこにこしながら西から近づいてきますが、実は大きく口を開け牙を剥いて襲いかかろうとしています。その国に天皇陛下を貢物に利用して、小沢幹事長の大朝貢団。

 平成四年、中国は領海法を制定して尖閣を領土と宣言し、今度また島嶼保護法によってその保有・開発を確実にします。東シナ海は何年も前から中国の調査船が、ひっきりなしに往来してこの付近の海底や資源を調査。艦隊の陣形運動。潜水艦は潜航のまま石垣島近くを領海侵犯。偵察飛行も頻繁。現政権は防衛の金看板・日米同盟に亀裂を入れ、日米中は正三角形と離米親中の様子。わが国西端の与那国への自衛隊配置も取り止めました。こんな中で永住外国人参政権。年々急増している中国人も。

 日本国中どこでも参政権を持った中国人が万単位で、ことあるごとに中国政府の意向のままに動く事態もありましょう。沖縄での反基地・反自衛隊・反政府・反米運動にはその影が見える、工作員も相当数に上ると言はれます。「沖縄独立」の声もあります。普天間にはどう絡んでいるのか。台湾が辿ったように住民に対する経済的関心を梃に心理工作もありましょう。

 考えて下さい。「沖縄から米軍がいなくなる」「日米同盟が空洞化して日米共同防衛が形骸化」「沖縄の県民感情が親中に傾き、本土への離反強化」「自衛隊は防衛予算を抑えられ、人も装備も削減され、その上に手枷足枷。効果的な対応が出来ない」このような事態を最も歓迎する国はどこか。答えは言わずもがな。次はどんな事になりますか?

 「中国は脅威ではないと」言う政治家がいます。本当にそう思っているとしたら、わが国周辺の情勢に疎く、とても日本国をお任せする訳には参りません。中国はもう二十一年も軍事費を前年より二桁増。今や日本の防衛費の四倍以上二十兆円を超えると言はれます。厖大な陸・海・空軍。空母も建造。核・ミサイル・宇宙・サイバーなど広範な軍事力の量と質を強化し、米国に次ぐ世界二位の軍事大国です。

 米国は最近の国防計画の見直しの中で「増大するプレゼンスと影響力は世界の戦略展望の中で最も重大」と中国の脅威を強調します。二〇五〇年の極東の地図があります。日本は富山・岐阜・愛知以西は中華人民共和国東海省、それ以東は日本自治区。冗談じゃない。しかし米太平洋軍司令官に米中による太平洋分割管理を提言する国です。それに北朝鮮。拉致に加えて核・ミサイル。周辺の軍事情勢は風雪荒ぶ冬景色。「友愛」で対応出来ましょうか。          
『日本の息吹』平成22年4月1日号「愛媛版」より転載

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