政治家そして兵士、国民の水準を示すもの
日本会議愛媛県本部          
会長 重 松 惠 三
 国会は論議酣(ろんぎたけなわ)。国民によって選ばれた政治家と、その国の軍隊の兵士は、国民の水準を示すものと言われます。

 先ずは兵隊さん。ナポレオン以来、一国の国民によって成り立つ国民軍は、あらゆる意味においてその国の国民そのものでありましょう。日本陸海軍の兵士の、国家への忠誠、勇気、団結、軍規、技術、など軍人としての資質の優秀なことはもとより、人間としての教養、情念、道義心なども世界の軍隊中では極めて優れたものをもっていました。それは、日本軍が関わった幾多の行動の歴史が示しております。今も、国の内外で活躍している自衛隊の隊員がその行動を継いで、世界中から非常に高い評価を得ています。三十年以上も前のことですが、年次射撃の自衛隊の対空ミサイル部隊を見て、アメリカの防空砲兵学校の校長が私に言いました。「ここに来る幾多の国々の防空部隊の中で日本はナンバーワン」。嬉しく思いました。これは取りも直さず、日本人が長く培い伝えてきた世界に誇るべき日本人の優れた点、秀でたものが自衛隊の組織にも、隊員にもあると言うことでありましょう。

 片や政治家の先生方、民主主義国家では国民が選挙によって選ぶのですから、この選択の背景には、当然国民の意識、見識、国家観、是非曲直(ぜひきょくちょく)に対する感覚、人物観、など総合的な人間としての質の問題、民度があります。民主党が圧勝した、先の総選挙。国民の投票が政治家の巧みな人心操作に乗ってしまったと言う結果が、国民の上に降りかかってこなければ良いが、との思いがしてなりません。かつては、政治家が掲げる建前の政策に、国民に対して「撒餌(まきえ)に群がり毛ばりに喰らい附く愚かなこと」と警告する人もいました。この度は、そのような声も小さく、すべての党派が同じレベルのことを競い合い、国民の生活の安逸(あんいつ)への迎合のみに熱心です。国政はこの国が求める姿、行くべき方向を示すべきであるのにそれがない。多数の新しい国会議員が生まれました。国家への経綸抱負(けいりんほうふ)を述べるでもない。格好の良さしか取り柄のない若者や、ポルノ女優まがいの女性、数合わせの為に名を上げた人達にこの国を託してよいのか。それら国会議員に国政を担当する能力、資質に欠けるところがあれば、公認した政党の責任も厳しく問われなければなりますまい。賢い国民は、政権交代の後に来るものを冷静に見つめ、正すべきは正ししてゆかなければならないと思います。

 甘い言葉とパフォーマンスで乗り切れるような国際情勢でもなければ、わが国の置かれた現状でもありません。また国防は国の基盤。命を懸けて国を守る自衛隊員に、このレベルの政治家のすなるシビリアンコントロールの結果も懸念されるところです。

 日本会議の心が、その運動の広がりが、わが国の未来のため、今こそ求められています。

『日本の息吹』平成21年12月1日号「愛媛版」より転載

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