(愛媛版)息吹13年11月号 4面

 国難に殉じた青年たちの歴史を記憶するために
    第7回10月25日−神風特別攻撃隊戦没者慰霊追悼式典(西条市・楢本神社)に参列して

 冒頭から私事で甚だ恐縮ですが、10月25日の神風特別攻撃隊第1号として散華した関行男大尉(西条市出身) 以下5名をはじめ愛媛出身の特攻隊戦没者慰霊祭を2年前、日本青年協議会の『祖国と青年』という雑誌に紹介 したことがあります。その折に強い衝撃を受けた出来事がありました。
 会場の近くに中学校や高校があります。 慰霊祭の最中にその横を生徒が歩いていた、数名に関行男大尉を知っているかと聞いてみますと、誰も知りませんでした。 なかには何をしているのかと訝るような表情をしている生徒もいました。
 関行男大尉のことは特攻に関する文献では必ず紹介されています。 ところが、地元の西条市では次の世代への継承が行われておらず、 このままでは関大尉をはじめとした特攻隊員の真情や事績は人々の 記憶から消え去ってしまうのではとの強い危機感を覚えました。 以後個人的にマスコミ、また戦史や英霊問題で積極的に発言されている 作家や著名人に資料や慰霊祭の案内を機会を捉えて送り続けました。
 しかし反応は冷たいもので、返事ひとつありませんでした。 戦没者への慰霊を蔑ろにしてきた戦後日本を象徴していると、 暗澹たる気持ちでいたところ、今年10月はじめ、初めてたった一人、 「参列させて頂きます」と丁重なお電話を頂いた方が、ジャーナリストの工藤雪枝さんでした。
 工藤さんは、ご自身が重い自立神経失調症を患ったときに、特攻隊員の遺書を読み自分の魂が癒されたのを機会に、 特攻をテーマに研究・調査され今年の夏それを一冊の本『特攻へのレクイエム』(中央公論新社)として刊行されました。 その中にも、関大尉のことはもちろん、お母様のサカエ様の戦後のご苦労まで紹介されています。 地元の人の心から消え去ろうとしている歴史の真実や英霊の真情を、関大尉とは血の繋がりもない、 しかも戦後生まれの30代の女性が、関大尉のみならず大東亜戦争で散華した全ての特攻隊員の魂を慰め、 その真情を次の世代に継承して行くために自らの生命を賭けて、全国の人々に伝えようとしている、 そんな姿勢に心から頭の下がる思いが致しました。 25日に参列された折、貴重なお時間を割いて頂いて、お話しを伺いましたが、 そこで先にご紹介した出来事をお伝えしますと、「それは大変悲しい話しですね」と仰いました。 悲しいという言葉を使われました。この現実を心から悲しみと受け止める愛媛県民は何人いるでしょうか。 この言葉を聞いて、県民の一人として恥ずかしい思いがするとともに、慰霊についての重い課題を与えられた気がしました。
 関大尉だけでなく、郷土の国のために散った先人の事績を伝えるためには日頃から様々な努力が必要です。 例えば、12月8日には真珠湾攻撃で特殊潜航艇で散華した9名の慰霊祭が、訓練基地のあった瀬戸町 三机湾の慰霊碑前で地元の人々により毎年行われています。 こうした郷土の慰霊祭に人々の関心を喚起して行くことが慰霊の原点です。 皆様の住む街の先人たちの事績に心を傾けて下さい。
 最後に工藤さんが翌26日「神風」というホームページに書かれた慰霊祭の感想をご紹介します。(一部を抜粋) 「重ね重ね、関大尉はじめ、特攻の英霊の魂が長き呪縛と苦悩から解き放たれ、特攻の魂が報われるよう願いつつ、 日本を素晴らしい国にしていかなければならないと思います。(略)特攻の英霊の魂に思いを馳せる 気持ちをこれからも持ち続けたいと思いました。」
 英霊の志を承け継いで日本のために生きようとする姿勢が行間から滲み出ていて全身が凍りつくような感動を覚えました。 工藤さんは、何か愛媛県民が忘れかけていた大切なことを、甦らせてくれたような気が致しました。(S)


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